ショウジョウソウ |
たまたま庭に出ていたら ご近所の奥さん(40代とお見受けしている)スズキさんが 車で通りかかった。我が家の前は 細い市道。
車のエンジンをかけたまま 窓を開けて 「おりーぶさん。この間の猫 昨日帰ってきたんですよ。ご心配おかけしました~」というではないの。
「あらぁ よかったねぇ」そんなわたしの声を 聞いたか聞かないかのうちに 彼女は走り去りました。後方から車が来ていたので 停車しているわけにはいきません。
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さて「この間の猫」というのは ある猫のこと。
数日前の夕方 わたしが駐車スペースに車を停めた時 ちょうど 彼女が通りかかったんです。手には キャットフードの小袋を握りしめている。
「おり~ぶさん 茶色の猫 見かけませんでした?いなくなっちゃったんです。いろいろ探しているんだけど 見つからなくて」というのですが わたしには 思い当たりません。
スズキさんの飼っている猫かと思ったら そうではない様子。
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彼女宅とその隣家二軒。つまり三軒が協力して 迷い込んできた猫をかわいがっていたらしいの。五月頃からだという。
猫が寝泊まりしているのは スズキさん家の軒下に用意した寝床だったそうで 他の二軒にも しょっちゅう顔を出していた。三軒の人たちは 「地域猫として 見守っていこう」と話していたようです。
わたしは その猫 一度も見かけてないんです。でも スズキさんの話を聞けば 「はやく見つかってほしい」と思うのが 人情でしょ。
「もし見かけたら 電話するね」と伝えました。
とはいえ その後 猫の姿を見ることはなかったの。雨の降りそうな雲行きを見れば 「猫は どこで雨をしのぐのだろう」なんて ちょっとは 心配もしていました。
そんな折 彼女からのうれしい知らせが あったわけ。
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車の窓から「昨日帰ってきたんですよ」と言った時の 満面の笑み。「いなくなっちゃったんです」と言った時の 暗い表情とは大違い。
ネットの掲示板にも掲げたという 猫ちゃん探し。無事な姿で帰ってきてくれたのだもの。そりゃ 安堵したに違いない。
わたしも ほっとしたわけですが 猫が戻ってきてくれたことと同じくらい うれしかったことがあるのです。
それは スズキさんが 「猫を見かけませんでした?」と わたしに声をかけてくれたこと。
同じ町内にいて たまたま会ったから ごく自然な流れだったかもしれないけど 個人的に親しくしているわけでもない独居老女を 猫探しに巻き込んでくれたんですもの。
だからといって なんのお役にも立てなかったんですが・・・。
ひとり暮らしの老女には そういうことが とってもありがたく感じられて仕方がない。少なくとも わたしにはそうなのです。
ひとりびと( a widow) しかも 直系家族のいない境遇だからなのか 他人様からの何気ない言葉かけにも 深く感じ入ってしまうのかもしれません。
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スズキさんとは これからも 同じ町内に暮らしているというだけの ゆるいおつきあいのままだと思うけど 道で会ったら「猫ちゃん 元気?」って聞けるでしょ。
そういうつながりも 独居老女には 必要なこと 大事なこと 大切なこと。
年齢を増すごとに そう想うようになりました。
毎日 蒸し暑~い。
どうぞ お身体 ご自愛くださいますように🍀